脳卒中情報

1.脳卒中(脳梗塞・脳出血)の前兆

脳卒中情報脳卒中(脳血管障害)は、大きく2つに分類することができます。

○脳梗塞:脳の血管に血栓が詰まることによって発症する病気
○脳内出血/くも膜下出血:脳の血管が破れ、脳細胞内に血液が出血してしまう病気

そして、私たちは脳卒中を「怖い病気」だときちんと認識する必要があります。
何故なら、死に直結する病気だからです。

それだけではありません~仮に命が助かったとしても、大きなハンデを背負って生きていかなければならないからです。

大きなハンデとは、片麻痺や言語障害などです。

想像してみてください。
目が覚めると、自分の片方の手足が思い通りのまま動かなくなっている~ある意味、脳卒中の怖さはそこにあるともいえるのです。

毎年25万人以上が発症するといわれている脳卒中~そんな脳卒中に、前兆はあるのでしょうか。

○脳卒中の前兆~
・TIA(一過性脳虚血発作)
・身体の片側の手足がしびれる(動きが鈍くなる)
・めまいを発症する
・急にロレツがまわらなくなる(言葉が思い出せなくなる)
・物が見えにくくなる(視野が欠ける)
※一過性脳虚血発作について:脳梗塞に診られる前兆で、一時的に脳の血管に血栓が詰まった状態をいい数分で回復する発作です。大きな血栓であれば、前兆ではなくそのまま脳梗塞を発症します。

このように、脳卒中には上記に明記した前兆があるのです。

しかし私たちはそうした前兆を、簡単に見過ごしてしまう傾向にあります。

というのも前兆は一過性のもので、すぐに治まってしまうからです(例えば軽いめまいを発症しても、「寝不足/風邪気味」等々と別の軽い症状を疑ってしまう傾向にあります)。

何かしらの脳卒中の前兆を発症した場合、3ヶ月以内に約15~20%の方が脳卒中を発症するといわれています。

脳卒中の前兆を見逃さないでください。
前兆で予防できれば、脳卒中は完治できる病気であることを覚えておいてください。

2.脳卒中(脳梗塞・脳出血)後遺症

脳卒中を発症した場合、約60%が何かしらの後遺症を発症するといわれています(ちなみに残りの40%の内訳は「死亡が20%/回復が20%」です)。

この統計からわかるように、「脳卒中=後遺症」は私たちが抱いていたイメージではなく、事実であることを認識する必要があるのです。
そして脳卒中でもっとも多い後遺症は~片麻痺(半身麻痺)です。

では脳卒中の後遺症で片麻痺を発症してしまうと、身体はどのような症状になってしまうのでしょうか。

まず、手足がダランと脱力したような状態になります(一目見ればわかります)。
そして、「肘を曲げる/手を握る/何か物を掴む」といった動作ができなくなります。
とにかく片麻痺になった側で何かしようとしても、まったく自覚症状がないのです。

次に多くみられる脳卒中の後遺症として、失語症が挙げられます。

字の如く、失語症は「自分が話そうとしている言葉が、うまく出てこない」症状をいいます。
そして、失語症は脳の損傷部分によって病名が違います。

○ブローカー失語症~
「相手が話す言葉は理解はできるが、話すことができない」症状。

○ウェルニッケ失語症~
「相手が話す言葉も聞き取れず(理解できない)、言葉も話すことができない」症状。

以前、私の友人が脳内出血を発症し、右片麻痺と言語障害の後遺症が残りました。

これは私の意見として聞いてください。
私は脳卒中の後遺症の中で、失語症が一番きついと感じています。
何故なら、自分の意志表示を相手に伝えることができないからです(非常に辛い後遺症だと思います)。

しかし後遺症を発症したからといって、嘆いているだけではダメです。
きちんと自分の症状と向き合い、(在宅)リハビリや訪問マッサージを受ける必要があります。

あなたの周りには、あなたを支える家族がいます。
家族と気持ち良く生活できるかどうかは、あなたのリハビリに対する取り組み方次第で決まるのです。

3.脳卒中(脳梗塞・脳出血)の原因

脳卒中の一番の原因~それは「高血圧症と動脈硬化」です。

「血圧が高いと、どうして脳卒中を発症するの?」と、思う方もいるかもしれません。
しかし高血圧症が脳卒中を発症させることは、医学的にも実証されているのです。

高血圧は、血液の圧力が高くなることを意味します。
血圧が高い状態が続くと、血液の圧力に耐えるため血管壁が厚くなっていきます。
そしてさらに高血圧症の治療をしなければ~血管壁を傷付けることになり、結果的に動脈硬化を引き起こしてしまうのです。

○動脈硬化~
生活習慣の不摂生を続けると、血管の内側にコレステロールや脂質が付着し血管壁が厚くもろくなります。
そして突然、血管壁に大量に付着した血栓が剥がれ落ち、それが脳の血管で詰まってしまう症状です。

このように脳卒中と「高血圧症と動脈硬化」は、密接な関係があるのです。

ちなみに脳卒中と密接な関係にあるのが「高血圧症と動脈硬化」に対して、関節的な関係にあるのが「肥満」です。
何故なら、肥満が「高血圧症と動脈硬化」の危険性を高めているからです。

その顕著な例が、メタボリックシンドロームではないでしょうか。

事実、「肥満/高脂血症/高血圧/糖尿病」のいずれか2つが当てはまれば、メタボリックシンドロームと診断され脳卒中を発症しかねないと忠告を受けます(ちなみに上記の4症状は「死の四重奏」とも呼ばれています)。

またこうした原因とは別に、脱水症状によって脳卒中を引き起こすこともあります。

例えば水分を摂取しないで過度の運動を続けた結果、脱水症状を引き起こし脳卒中になることもあります(ドロドロ血液が血栓を作り出します)。

歌手の西城秀樹さんが、その最たる例ではないでしょうか。
西城秀樹さんはコンサートに備え、ストイックなまでに自分を鍛え上げようとした結果、脱水症状から脳梗塞を発症しています。

4.脳卒中(脳梗塞・脳出血)のリハビリ

脳卒中を発症した場合、すぐに考えること~それは「リハビリ」です。
そして、できるだけ早くリハビリを開始しなければいけません。

何故なら大半の方が片麻痺を発症するわけで、リハビリが遅ければ遅いほど運動機能が鈍くなってしまうからです。

特に注意しなければならない部位は、麻痺した関節部分です。
関節の屈曲運動をしなければ、手足が屈曲した状態で固まることもあるからです。

ここで、リハビリ方法について説明したいと思います。

まずベッドサイドに座り続けることから始まります(30分程度)。

実は「横になり続けていた身体/片麻痺になった身体」は、ベッドに座ることさえ難しいのです(バランスが悪い)。

もちろん、1人ではできません。
作業療法士・理学療法士・家族の誰かがいる時にします。

それに慣れたら、ベッドサイドで屈伸運動を始めます。
力を入れる感覚を身に付けることによって、一歩生み出す練習もします。

そして病院の手すりを使って歩くことができるようになれば、外で歩くための杖歩行のリハビリが始まります(ここでは足のリハビリについて触れましたが、もちろん手のリハビリもあります)。

脳卒中によって片麻痺を発症~そしてリハビリをしたとしても、思うようにリハビリの成果が現れるわけではありません。

だからといってリハビリをしなければ、それは寝たきりを意味します。
では、どうしてリハビリを続けなければいけないのでしょうか。

片麻痺は一部の死滅した脳細胞ですが、放置し続ければ(リハビリをしなければ)、活動している脳細胞を取り囲み死滅させる可能性もあるからです(時間が経つにつれて)。

つまり活動している脳細胞を持続させるためにも、リハビリを続ける必要があるのです。

最後に、リハビリが持つ目的を明記致します。
「脳卒中の再発防止はもちろんのこと、機能障害や能力低下からの回復を目指し、生活をするうえで質の向上をはかる」ことです。

5.脳卒中(脳梗塞・脳出血)の予防

日本人の死亡率第3位の脳卒中~私たちは、脳卒中を予防するために何をするべきなのでしょうか。

まず第一にしなければならないことは、規則正しい生活習慣を心掛けることです。
前項でも触れていますが、不規則な生活習慣を続ければ、必ず身体は疲弊をきたしてしまいます。

「バランスの摂れた食生活/十分な睡眠/適度な運動」を続ければ、生活習慣を改善することができます。

難しいことかもしれませんが、自分の命と脳卒中を天秤にかければどちらの方がより重要なのかは明らかです。
「規則正しい生活習慣=自己管理」であることを忘れないでください。

そして規則正しい生活習慣の中で、特に注意するべきことは「喫煙と飲酒」です。

100歩譲って、飲酒は「深酒をしない(飲み過ぎない)/休刊日を設ける」のであれば良しとします。

しかし喫煙は違います。
喫煙は、血管を収縮させるだけでなく血圧を上昇させます。

しかも発がん性物質を多く含んでいて、脳卒中だけでなくがんも併発させる可能性があります。
もちろん喫煙と飲酒の両方を辞めることがベストの選択ですが、どうにかして喫煙だけでも辞めるべきだと思います。

さらに脳卒中の予防として、健康診断を忘れてはいけません。

サラリーマンであれば毎年健康診断があると思いますが、なかには健康診断をスルーする人もいらっしゃいます。

絶対にそういう行為をしてはいけません。
何故なら、健康診断によって自分自身の身体の不調がわかるからです。

例えば健康診断に付きものの血液検査や血圧測定によって、「高血圧症/高脂血症/糖尿病」などの数値が如実に表れるからです。

そして当然ことですが健康診断の再検査通知がきたら、きちんと診察を受ければいいのです。
それによって、未然に脳卒中を防ぐことができるからです。

すべての病気にいえることですが、治療開始が早ければ早いほど症状の改善も早くなります。